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ゴングが鳴る前に
シュプール
カーリング
ヒンズースクワット
敗北
リングに上がる前
練習
プロレスラー
ラストスパート
リレー選手
わたしテニスはじめました
引き分け
全力投球
フリースロー
試合
 
 
 
 

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「ゴングが鳴る前に」
試合は
試合開始前から
はじまっている

試合は
ゴングが鳴る前から
はじまっている

試合は
場外から
もうはじまっている

少しでも早くはじめたほうが
勝利にたどり着く

人生はかけっこと同じ

足が遅いなら
ひとより早くスタートすれば
いいだけなんだ

 
「シュプール」
どんな
弧を
描くか

どんな
角度で
ポールに
突っ込むか

どんな
ラインで
バーンを
滑り抜けるか

シュプールは
自分自身

そこを
滑るまえに
闘ってきた
そのプロセスの
すべてが
あらわになる

 
「カーリング」
その真っ直ぐな
視線に

その真っ直ぐな
意志に

その真っ直ぐな
想いに

その真っ直ぐな
希望に

その真っ直ぐな
夢に

僕らは
ただ
息をつめ
見つめるだけ

僕らは
ただ
スキッパーの決断に
すべてを託す

誰よりも熱い
氷のうえで

誰よりもクールな
闘いがつづく

 

 
「ヒンズースクワット」
789、
790、
791、

いつ
やめても
いい

いつ
次のトレーニングを
はじめても
いい

836、
837、
838、

誰が
やれと
命令したわけでも
ない

誰が
やりつづけろと
命令したわけでも
ない

楽をしようと
思えば
やめてしまえばいい

でも
楽しくやりたいと
思うから
いまは
やりつづけたい

939、
940、
941、

やめないこと
やりつづけること
やりぬくこと

やることではなく
やりつづけることではなく
やりぬくことではなく

998、
999、
1000、

ただ
勝つために
ただ
ただ
結果を出すために
ただ
次を目指すために

そして
ただ
自分に
負けない
ために


すべては
通過点

そして
ゼロから
またはじまる

 
「敗北」
負けて
しまった

まだ
トーナメントは
これからだ

でも
負けてしまった
僕らは
もう戦いに参加できない


それは
次の戦いのスタートを
はじめられるということ

4年後の
ワールドカップに
決勝トーナメントで
戦うチームたちは
まだ準備を
始めることは
できない

けれど
もう今回の戦いが
終わってしまった
僕らは
もう4年後の準備を
はじめることが
できるのだ

うつむいている
場合ではない

次のチャンスに向けて
闘いはもう
はじまっているのだから

 
「リングに上がる前」
リングにあがった
おまえに
俺がしてやれることは
ない

リングにあがるのは
俺だって
怖い

だから
リングにあがるまえに
できるかぎりのことを
やり尽くす

リングにあがって
リングから
無事
降りてくる
ただ
それだけのこと

だが
そのことの
意味を
そのことの
奇蹟を
そのことの
かけがえのなさを

知っているのは
リングで闘う
俺たち
レスラーだけかも
しれない

リングにあがったら
なにもできない

だから
リングにあがるまえに
できることは
すべてやり尽くさなれば
リングにあがる
資格はない
 
「練習」
一生懸命
練習した

いつもの倍くらい
練習した

もう止めようと
いつもなら
思ってしまうけど

それでも
練習しつづけた

けれど
残念ながら
結果は
よくなかった

それどころか
練習しないより
むしろ結果は
悪くなった

練習なんか
しなければよかったと
コーチにいった

いや
そんなことは
ない

いままでとは
違う結果が
出ているのだから

あとは
結果が
上向きになるまで
練習しつづける
ことだと
コーチはいった

ひとごとだから
そんなこと
いえるんです

コーチに
くってかかった

同じことを
自分も選手のとき
思ったよ

いつも厳しいコーチが
いつもとは違う
優しい笑顔で
そういった

もう少し
練習しつづけてみよう

そう思い直して
もういちど
練習することにした

こうなったら
練習と
私と
どちらが勝つか
競争だ

いつか
きっと
練習を
まかせてやるから
 
「プロレスラー」
流血とか
デスマッチとか

そういうのは
プロレスラーの
崇高さの
照れ隠し

ただの
ボディスラムが

それを
しかける側も
それを
受ける側も

どれだけ
途方もない
鍛錬の裏づけの
うえにたって
いることを

プロレスラー
なら
誰もがみんな
知っている

いいたいことは
たくしたい夢は
かけたい運命は

すべて
リングに
あがってから

それが
プロレスラーが
プロレスラーで
あるための

たった
ひとつの
掟かもしれない

 
「ラストスパート」
やっと
ゴールが
見えてきた

あと少しで
たどりつく

あと少しで
向こう側に
いける

でも
ここからが
正念場

ゴールまで
走るのでは
なく

ゴールの
向こう側まで
駆け抜ける

その勢いが
なければ

勝利の
ゴールテープは
切れない

 
「リレー選手」
運動会の
クライマックスを
飾る

紅白
対抗の
リレー種目

クラスから
選び抜かれた

駆けっこの
スター達が

紅白の
バトンを
握り

ゴールに
向かって
ひた走る

トラックの
周りから
聴こえてくる
声援も

走っている
選手たちには
聴こえない

ただ
たったひとつの
ゴールに
向けて

胸のつまる
競いあいが
つづくなか

どちらが
勝っても
どちらが
負けても

その
一瞬は
永遠にも似た
想い出を

僕らの
胸に
刻んでくれる
 
「わたしテニスはじめました」
ロッカーの
鏡に映る
テニスウェアの
自分が

我ながら
眩しすぎて
格好
良すぎて

おニューの
ラケットも
ま新しい
シューズも

コートの
うえに立つ
まっさらな
自分も

なにか
素敵な
胸さわぎに
あふれてる

まだまだ
エースは
狙えないけれど

いつか
オーバーハンドで
サーブをして

巧みに
ボレーを
返して

目の
さめるような
スマッシュを
きめる

そんな
憧れの自分に
逢うために

わたしは
きょう
テニスを
はじめました
 
「引き分け」
勝てそう
だったのに

引き分けに
なって
しまった

負けそう
だったのに

引き分けに
持ち込めた

同じ
引き分けでも

負けと
同じ
引き分けが
あれば

勝ちと
同じ
引き分けも
ある

ほんとうは
同じ
引き分け
なのに

嬉しい
引き分けも
悔しい
引き分けも
ある

ほんとうは
同じ
引き分け
だけど

引き分けが
もたらす
結果は
同じでは
ない
 
「全力投球」
この
一球が
最後の
一球

この
一球が
生涯を
締めくくる
一球

そんな
覚悟と
決意と

希望と
絶望の
入り混じった

最後の
一球が

一球
一球
積み重なって

たとえ
スローボール
でも

たとえ
ストライクで
なくても

ただ一球
たりとも

手を
抜いた
一球など
なく

結果を
求めるため
ではなく

自らの
意志の強さを
確かめる
ために

あらんかぎりの
力を尽くし

あらゆることを
犠牲にして

全力で
投げ続ける
 
「フリースロー」
時計が
止まったなか
 
ディフェンスも
いまは
目の前にいない
 
敵の邪魔も
ないけれど
味方の助けも
得られない
 
ぜんぶ
自分ひとりで
やらなければ
ならない
 
成功も
失敗も
 
栄光も
敗北も
 
ただ独り
すべて
自分自身に
ゆだねられる
 
フリースロー
 
それは
バスケットボールで
いちばん
孤独な
いちばん不自由な
シュートかも
しれない
 
「試合」
グラウンドに
立ったときには
闘いは
もう
終わっている
 
グラウンドに
立つ前に
勝ち負けは
もう
決まっている
 
がんばるのは
試合が
はじまってから
ではない
 
がんばれるのは
試合が
はじまるまえ
だけだから
 
グラウンドに
立って
試合が
はじまったら
 
もう
できることは
いままで
やってきたこと
だけ
 
試合が
終わってから
反省しても
仕方ないように
 
グラウンドに
立ってから
がんばっても
もう
仕方ない
 

 

 

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