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■メールマガジン発行者:野崎美夫 ■発行者メールアドレス:nozakimagazine@interstrategy.co.jp このメールマガジンは「まぐまぐ!」より発行しております。
その後悔が セカンドパットに 込められる
ファーストパットが ショートすれば セカンドパットは 強すぎる
ファーストパットが 強すぎれば セカンドパットは ショートする
ふたつの 後悔を 引きずりながら
スリーパット目は ただまっすぐ ターゲットに向かう
パッティングの 後悔は 後でしか できない
反省の その証しは スリーパットの 3という数字に しっかりと 記録される
ナイスショットと 思って フェアウェイを 意気揚々と ボールに 近づいていくと ディポットに ボールが つかまっている 最高の 気持ちから 最低の 気持ちへ 心は いっきに 急降下する 力んでいけない と思っていても あのナイスショットを なんとしても いかしたいと 思えば思うほど 結果は裏目に 出てしまう 大事に いこうと思うと ゆるむ しっかり 打ち込もうと思うと からだがとまる ダフる トップする 引っ掛ける プッシュアウトする そして シャンクする いま 目の前の ボールに 最善を尽くすことを 忘れ 不運を嘆き 予測に怯え 結果を恨む ディポットは そんなゴルファーの 心の穴かも しれない
グリーンは 外したけれど これを 寄せれば ダフルなよ トップするなよ ヘッドアップ するなよ あれをするな これをするなと チェックポイントが 増えるぶんだけ ヘッドがでなくなる 気がつくと ボールが 目の前に 転がったまま ざくっりは うっかり ざっくりは がっかり 次の アプローチが いくら 寄っても その日 一日 心は深く ささったまま
あの アプローチが もし うまくいってい タラ あの OBさえ もしなけ レバ そんな タラや レバが なくなったら 途方もない スコアになるはず なのに ときどき いや ほんとに一年のうち 一度か何度か そんな タラレバなしの日が やってくる タラレバゴルフなら とっくに70台なのに タラレバスコアなら とっくにシングルなのに タラレバが なかっタラレバ そんなタラレバも もしかしたら いまのじぶんのゴルフの ちょっと屈折した 楽しみのひとつかも しれない
べスグロ より ニアピン より 優勝 より もちろん ブービー より ブービーメーカー より 誇らしく 輝かしく 凛々しいのが ドラコン 計算など しない 小さくなど まとまらない 危険など かえりみない ゴルフは 生き方とは 違うのに ゴルフは 人格とは 違うのに ドラコンほど 男らしく ドラコンほど 女々しく ドラコンほど すべてのゴルファーが とりたいものは ない
きょうこそ 120台で 回りたい きょうこそ 100を 切りたい きょうこそ 80台で おさめたい 目標スコアは それぞれでも 肩に入る 力は同じ 前の晩に 練習しても 早くコースに 着いて 念入りに ストレッチしても スタートホールの ティーショットが 終わるまで プレッシャーは 高まるばかり 空振りさえ しなければ という 110の王たちも 何食わぬ顔で ナイスショットを 飛ばす シングルプレーヤーも 心に秘めた スタートホールの 緊張感は 変わらない
いつもは 封印されている フルバックの ティーグラウンド レギュラーティーの 遥か後ろに まるで幻のように 立ち尽くす チャンピオンティー 月に一度 この研修会の ときにだけ その封印は 解かれる 普段は らくらく パーが取れる ホールも ショートアイアンで ピンを狙える パー3も すべてのホールが ハンディキャップ1の どこよりも難易度の 高いホールに 早変わりしてしまう 無駄口も 不必要な素振りも 長いアドレスも いらない ナイスショット なんて言葉さえ ここでは 空疎な おせじに 成り下がって しまうから
それは ナイスショットの あとに なんの 前ぶれもなく 突然 やってくる あっ という 小さな悲鳴と ともに えっ という 大きな落胆と ともに いったい なにが 起きたのか どうして こんなことに なったのか しかも いったん それが あらわれると なぜか つぎつぎと それは あらわれる シャンク ひとつで ゴルファーは 奈落の底に 沈んでいく いつ 浮かび上がるか わからない 底なしの 不安のなかへ
手打ちに なって ますねぇ 頭が つっこんで ますねぇ 右足が 流れて ますねぇ それでは スライス しますねぇ だから そんなことは わかってる それを 治したいから レッスンを 受けているのに で どうしたらいいかと たずねると もっと からだを つかって 手打ちに ならないように ダウンで 頭が つっこまない ように テイクバックで 右足が 流れないように そうすれば スライスは 出なくなるからって 心のなかで ため息を つきながら きょうも なにも進歩せず レッスンは 終わった がんばれば 必ず 上達しますからって でも なにを がんばればいいのか きょうも なにも 教えてくれないまま レッスンは 終わった
クラブに こだわる以上に 実は キャディバッグに こだわっている カートに 積まれてしまったら キャディバッグなんて なんでも 同じかもしれない でも キャディマスター室の 前で カートに積まれる その前に 少し恥ずかしそうに 立ちあがる そのキャディバッグは きょう どんなゴルフに なろうとも その持ち主の なによりも誇らしげな 自己主張に ちがいない
なにくわぬ 顔で 入賞なんて とんでもない なんて 顔をして 実は 誰にも 内緒だけど 秘かに 優勝を 狙ってる ドライバーが まっすぐ 飛べば アイアンが そこそこ あたれば アプローチが 寄って くれれば スリーパット さえ しなければ そんな たられば ばかりなら 優勝 できるのに
ただ プレーが 遅いだけでは ない ティーグラウンドに あらわれるのが 遅い ティーグラウンドに あがるのも 遅い 歩くのが 遅いのは もちろん 次の ホールへの 移動も 遅い 茶店から 出てくるのも 遅ければ ボール探しも 遅い ひとつひとつは それほど 遅くなくとも それぞれが 積み重なって 1ホール 2ホール ひらいていく そしてなにより いちばん遅いのは 自分たちが スロープレーであると 気づくのが 遅い 自分の番に なってからの ルーティーンが 遅い
いや 参加している だけだから いや 仕事のつもり だから いやいや そんなことは うそっぱち ほんとうは なにかを狙って 参加している それは 二アピンか それは ドラコンか それは べスグロか それは ブービーか それは ダブルぺリアの 優勝か とにかく 飛び賞でも なんでも いいから とにかく なにか もって帰らないと 週末に 家を空ける いいわけにも ならない
今年 最後の ラウンドの 最終ホールに やってきた 今年 最後の ティーショットに なる 今年 最後の アイアンショットに なる 今年 最後の アプローチに なる 今年 最後の パッティングに なる 今年の ゴルフへの 思いのたけの すべてを 込めて 来るべき年の ゴルフへの 夢と希望を 込めて 今年 ラストの 最終ホール どんな ショットが 出ても どんな スコアを 刻んでも 泣いても 笑っても 怒っても 悔やんでも すべての ゴルファーの ホールアウトの 瞬間が やってくる
ゴルフの 腕前 だけでなく ルールに 精通している だけでなく マナーの 見本である だけでなく その 倶楽部の ゴルフライフの すべての 面で メンバーたちの 見本と なるような そんな ゴルファーに なるための 背筋の 伸びた 切磋琢磨が ここにある 朝 門をくぐる ときから 帰りに 門をくぐる ときまで 倶楽部を 代表する者としての その緊張感こそ 研修会の いちばんの 研修テーマに ほかならない
フェアで あれ 公平で あれ 厳格で あれ 自由で あれ 言いたくも ないことを 言わなければ ならない こともある 口はばったい という 言葉の意味を 物言えば という 警句の意味を しみじみと 心のなかで 反芻して みたりもする 旧きを 尋ね 新しきを 拓き まっすぐな 信念と 迷いながらの 暗中模索を 繰り返しながら 我が 愛すべき 倶楽部のために 我が 信ずる道を 探すのみ
念のため もう 一球 打ってください キャディさんに そう いわれた ときは 確認 しなくても もう 結果は わかっている それでも かすかな ほんとうに かすかな 期待を 胸に 秘めながら 念のため ではない 一打を放つ こんどは 決まって ナイスショット けれど 想いは 最初に打った 球の 行方に 向かっている 暫定球は 心の 暫定球 望みが OBラインの 向こうに 消えない 限り 決して 諦めるわけには いかない
それは ここいちばんで あらわれる 絶対に 左には いかせては いけない けれど 距離は 稼ぎたい できれば フェアウェイの いいところに 運んで 次のショットで ピンを狙いたい 残りホールを 考えても ここまでの スコアを 考えても この ショットだけは 失敗するわけには いかない そんな あらゆる想いが プレショットから アドレスまでの 数秒に 頭のなかを 駆け巡る そして 次の瞬間 腰が 止まり あっ という叫びと ともに 弾は 大きく左に それていく 込めすぎた 想いと 考えすぎた 時間の チーピン それは招かれざる 贈り物
ワンラウンド 終えた後 おまけの ような プラスαの ハーフラウンド ラウンドの 反省や 言い訳を ラウンドの 後悔や 言い訳を そのハーフに とことん こめようとする けれど きょうのゴルフは 18ホールで もう 終わっている いくら ワンハーフで なにかを 取り戻そうとしても すべては 幻であることを すべては 取り返しのつかない 過去であることを すべての ワンハーフ ゴルファーは 心の隅で 知っている 少し後ろめたい ワンハーフ目の 9ホール それは ゴルフではなく 単なる 遊びでしかない
グリーンを こぼれた 球が ころころと 転がって 止まった ところは 芝のはがれた ベアグランド せっかく ナイスショット だったのに と思った その 瞬間から 次の ミスショットは はじまる ざっくり したくないな トップ したくないな そんな思いが 落ち着きと リズムを 一枚一枚 はがしていって 打ち急ぎで 仕上げて くれる ベアグランドは スルーザグリーンの もうひとつの ハザード そう思えば 謙虚に 切り抜けることが できたのに